IR 平成14年度

ニュースリリース

2002.12.10 健康産業流通新聞

食品物資事業 脂肪代替物で新商品

 フジ日本精糖は今期(2003年3月期)スタートした3年間の中期計画で、食材などを製造・販売する食品物資事業を「成長のけん引役」と位置づけている。本業の砂糖事業の需要拡大が見込めないためだ。“装置産業”で短期の採算改善が難しい砂糖事業に比べ、独自の製造技術を持つ機能性食材は付加価値も高く、高収益事業に育つ可能性が十分にある。
 12月初め、フジ日本精糖清水工場(静岡県清水市)の一角で地鎮祭が催された。最近まで食堂があったその場所には、同社が期待を込める機能性食材「イヌリン」の専用工場が2003年5月に完成する。新工場の生産能力は600トンでパイロットプラントしかない現在の30倍に増える。
 イヌリンは水溶性の食物繊維。多糖類の一種で、キクイモやチコリ、ニンニクなど多くの植物中に存在する。温水に溶けるが、冷めると微細な結晶ができて粘性が増し、生クリーム状になる性質がある。人間の体内では吸収されないが、脂肪分に近い食感が得られるため、脂肪代替物として低脂肪食品の開発などに利用できる。
 だ液や胃液などによって分解されず、そのまま大腸まで運ばれてビフィズス菌などの腸内環境と整える 善玉菌の増殖を助ける効果もある。食事中に摂取すると、イヌリン以外の物質が体内に吸収されたことに伴う血糖値上昇を抑制する機能もあると見られ、同社は仕組みの解明やデータ収集にも取り組んでいる。
 欧米など外国では植物の根などからイヌリンを抽出しているが、フジ日本精糖はひょんなことから酵素を使って砂糖からイヌリンを作る製法を開発した。同社は1990年ごろから機能性食材「トレハロース」の製法を研究。その中で砂糖をトレハロースに変える酵素を探していたところ、「偶然、砂糖をイヌリンに 変える酵素を発見した」(長谷川勝久常務)。
 イヌリンはぶどう糖1分子に複数の果糖分子が結びついた構造だが、果糖の数によって化学特性は異なる。同社の製法ではこの数を調節できるため、自然界に存在するイヌリンに比べて化学的性質が安定しているほか、用途に合わせて特性を変えることもできる。価格も1キログラムあたり700-1,000円という輸入品よりも安くできる見込み。2000年6月に製法などに関して国内外で特許を出願した。
 「フジFF」の商品名で2000年12月にサンプル出荷を開始。複数の食品メーカーが実用化に向けたテストをするなど販売のメドが立ったことから、今回5億5千万円を投じて延べ床面積800平方メートルの専用工場建設に踏み切った。
 現在、日本で使われているイヌリンは「年間600-700トン程度」(長谷川常務)だが、品質や価格が改善されれば消費者の健康志向を追い風に市場規模は拡大すると同社はみている。イヌリンを食品物資事業の柱と位置づけ、2004年3月期に400トンを販売、2005年3月期は生産能力を1800トンまで拡充して1000トンを売るのが目標だ。
 今期始まった中期計画で同社は2005年3月期の売上高を約140億円と、2002年3月期比10%増やすことを目指している。このうち食品物資事業の売上高は18億円と同8割増が目標。同事業の営業利益率は20%と全体の7%を大きく上回る見通し。
 でんぷんから作る異性化糖をはじめ、あんやココアに砂糖を混ぜた海外産の加糖調整品などに押されて砂糖消費量は減少基調。製糖各社は経営統合や共同生産などによるコスト削減で対応しているが、それだけでは縮小均衡に陥る。収益拡大のための新事業の開拓・育成は業界共通の課題となっている。

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