最新の糖尿病事情

佐藤麻子 先生

糖尿病シリーズ第二弾は「最新の糖尿病事情」をテーマにお届けします。日本と世界の傾向や予防法、治療法など、第一線の専門家にわかりやすく説明していただきます。

東京女子医科大学
糖尿病センター 講師
佐藤麻子 先生

第四章 糖尿病の予防について

自分の適正体重を知る

糖尿病の予防には肥満の解消が第一です。そのためには、いまの自分の体重が適正体重なのかということを知ることが必要です。

肥満度を判定する代表的な指標にBMI(Body Mass Index)があります。これは体重÷身長(m)÷身長(m)で算出されます。このBMI値が18.5未満では「痩せ」、18.5から25の範囲が「標準」、25以上が「肥満」とみなされます。たとえば体重70キロで身長が170センチであれば、70÷1.7÷1.7で計算します。この場合は24.22となりますので、ギリギリ標準体重といえます。ただ理想的な適正体重のBMI値は22です。厚生労働省が「肥満指数と死亡率との関係について」という報告書で、BMI 22がもっとも疾病が少なかったという結果を発表しましたが、痩せすぎでも太りすぎでもいけないということですね。

ですから、まずはご自身の適正体重を知りましょう。これは身長(m)×身長(m)×22で計算します。先ほどの170センチの例で言うと、1.7×1.7×22ですので、適正体重は63.58キロとなります。

その上で、適正体重に必要なエネルギー摂取量を計算します。それは適正体重に25キロカロリーをかけた値になります。この場合は63.58×25ですので、1589.5キロカロリーです。つまり身長170センチの方の1日の必要な適正エネルギー摂取量はおよそ1600キロカロリーとなるのです。

BMI値の計算式
体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
適正体重の算出方法
身長(m)×身長(m)×22(適正BMI値)
適正カロリー摂取量
適正体重×25キロカロリー

適正体重にあったカロリーコントロールを

自分の現在の肥満度と適正体重(=目標)が分かったら、食事と運動に気をつけるようにしましょう。食事はまず脂質を減らし、全体の摂取カロリーの50%を炭水化物で採るようにしてください。脂質は全体の25%ほどに抑えられると理想的です。その上で適正なエネルギー摂取量以下にカロリーを抑えるように気をつけてください。

しかしストレスになるような食事療法では長続きしません。揚げ物などの高カロリーのものは控えたほうがいいので、その代わりに食事の前にゆでた野菜を食べるようすると腹感が得られます。また、手間をかけてちょっとずついっぱい食べることが大切です。1回の食事に30分くらいかけてゆっくり食べるような環境を作りましょう。

摂取カロリーは、朝昼晩と三食均等に採るように心がけてください。朝、昼に食べたものは、通勤や仕事などで体を動かすためエネルギーとして消費されます。逆に食べてすぐ寝ると摂取したカロリーはすべて脂肪として体内に蓄えられてしまいます。食べてから最低3時間は寝ないように気をつけましょう。

運動療法は有酸素運動のウォーキングや水泳、サイクリングなどの有酸素運動がいいでしょう。ただし、これら決して無理をしないように気をつけてください。ウォーキングなら坂道や階段ではなく、平らなところを歩くほうが有酸素運動になります。息切れが続いたり、脈がとても速くなるような運動は長続きしません。息が切れるほどではなく、少し汗をかくくらいの運動がちょうどいいです。1日30分くらいの運動を週に3回くらいするように心がけてください。

種類別エネルギー消費量(kcal/kg/分)

外食、お酒は控えめに

食事療法や運動療法というのは劇的な変化がすぐ出るというものではありません。生活習慣として取り入れることが大切です。そのためには体重計を買うことをお勧めします。そして毎朝起きたら自分の体重を量って、毎日の記録をつけるようにしてください。目標は「前の日よりも1グラムも多くしない」という程度で大丈夫です。

そうやって気をつけながら体重を毎日記録していくと、たとえば昨日より重くなっていたら、昨日の生活を振り返るようになります。ラーメンのほかに餃子をよけいに頼んでしまったとか、原因と思えるようなことがだんだんと分かってきます。同様に軽くなっていたらそれもどうしてなのかと振り返るようになります。それを毎日繰り返していけば、自分がなにを食べると太るのか、ということも次第にわかるようになります。

外食の多い独身の方は、栄養指導の本などがたくさん売られていますので、それを見てカロリーの計算ができるようになってください。基本的に外食はカロリーが高いだけでなく、野菜が足りなかったりして、栄養バランスもよくありません。あと注文したものを全部食べないようにするということも大事です。一皿5枚の餃子なら1枚は残すというように、お腹いっぱいには食べず腹八分目を心がけましょう。

お酒も控えるようにしてください。お酒自体もカロリーの高い飲み物で、日本酒一合、ビール中瓶一本はゴハン一杯分のカロリーと同じくらいです。その上、おつまみも一緒に食べてしまうことが多いでしょうから、必然的に摂取カロリーが高くなります。さらに、お酒の飲み過ぎは脂肪肝などを起こしやすくします。お酒は適量を守り、おつまみなどはなるべく野菜などにするように心がけましょう。

代表的な外食のカロリー量の目安(1食あたり)
分類 献立名 カロリー量(kcal)
中華 ラーメン 420
チャーハン 690
焼き餃子大5個 450
麺類 天ぷらそば 550
冷やし中華 636
スパゲッティミートソース 620
スパゲッティカルボナーラ 841
ファストフード ハンバーガー 260
フライドポテト(M) 420
ナゲット5個 256
定食 天ぷら定食 830
焼き魚定食 530
刺し身定食 550
焼き肉定食 770
から揚げ定食 670
ハンバーグ定食 944
カレーライス 670
カツ丼 970
牛丼 540
にぎりずし 450
ミックスサンドイッチ 430
おにぎり1個 190

(取材・島田 健弘)

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