糖尿病編

佐々木淳 先生

健康を維持するためには、自分の生活習慣や年齢、体力などと向き合うことが大切です。ここでは第一線の専門家にわかりやすく説明していただきます。

国際医療福祉大学大学院 臨床試験研究分野
教授 佐々木淳 先生

第四章 糖尿病と予備軍のための生活改善“運動編(2)

自分の体力を知るために

“運動編(1)”でお話ししたような運動をする前にまず知っておきたいのは、自分にとっての“軽い運動”の目安です。自分の体力の半分でこなせる程度のものがベストでしょう。ここでいう体力とは、持久力のことです。体力の有無は、あらゆる疾患に対して関係してきます。体力のある人とほとんどない人では、体力のある人のほうが総死亡率が低いというデータもあります。

自分にとっての軽い運動を探す際、便利なのは運動時の脈拍から知る方法です。下の式に自分の体重をあてはめれば、簡単に知ることができます。ここで算出された脈拍数を維持できる運動が、自分にとっての“軽い運動”ということになります。

数式図

ボルグスケールただし、特に糖尿病の患者さんでは脈拍が増えにくいとか、安静時の脈拍が多い方も多くみられます。その場合は主観的運動強度(ボルグスケール)を目安にします。この表は、自分にとってその運動が、どの程度の強さなのかを感覚的に知ることができます。表にふられている番号の後ろに0を加えると、運動時の脈拍数の目安にもなります。上の数式と併用すれば、より良い運動を行えるでしょう。

運動を始めると、すぐに体力はついてきます。同じ距離でも脈拍数が下がってくるはずです。体力に合わせてスピードを上げたり、歩く距離を伸ばしたりして調整してください。ただし、無理は絶対にしないこと。体調が悪い時や途中で異変を感じたらすぐに運動をやめましょう。安全に体を動かすことが一番大切なのです。

長続きさせるコツは、生活スタイルの中に取り込むことです。会社が駅の近くにあるようなら、早めに家を出て、最寄り駅の前の駅で降りて一駅分歩くのもいいかもしれません。毎日続けるのが難しいようでも、2~3日に一度は30~60分程度の運動を行うようにしたいところです。

ひとつ注意したいのは、運動療法はダイエットとは違うということです。カロリーの消費量も少ないですから、体重を落とすのには向いていません。すでに肥満気味の人は、摂取カロリーはしっかりと管理しながら運動を行うようにしましょう。

すでに糖尿病にかかっている人は、主治医の指導の下に注意深く行う必要があります。コントロール不良でケトージスを起こしている場合や眼底出血が見られる場合は運動療法が禁忌になります。また、インスリンを使用している方は運動により低血糖を起こすこともありますので、インスリン使用量を調整する必要があります。なかには心筋梗塞などの合併症を持っている場合も多いため、主治医と相談した上で、食事療法とともに適切な運動を行ってください。

軽い運動は健康を維持し、病気の予防にもなります。健康な人もぜひ始めてみてください。

(取材・子川 智)

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